膨大な移行コストの削減
システムのデータベースをこれまでとは別の物に移行するとなると、かなりの手間と労力が必要となります。
移行先のシステム構成をどうするか、HA(High Availability:高可用性)や災害時のBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)、
DR(Disaster Recovery:災害復旧)はどういう構成にするのか、アプリケーションはどうするのか、データベース移行だけでいいのか等、
考えるべきことはたくさんあります。
そこから実際の移行作業についても、移行対象が多ければ多い程、膨大な工数を要し、その分のコスト(費用)が必要となります。
加えて昨今の人財不足により、より多くの費用を書けても人が集まらないことも考えられ、移行対象の量に関わらず
自動的に作業が行える環境を作ることが必要です。
DX対応で期待できる「SAP HANA」への移行
デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を考えていくと、「SAP HANA」を利用することで
より良いシステム環境の構築が出来ると期待されています。
従来のRDBMSはオンライン・トランザクション処理(OLTP)に特化した設計で、夜間バッチ処理で
オンライン・トランザクション処理からオンライン分析処理(OLAP)にデータを移し替えるような運用が一般的で、
結果としてデータは必ずしも最新ではなく、前日までのデータしか活用できないというタイムラグが発生しています。
その為、DXの実現を考えた今後増えていくデータ料とそのデータの分析は、よりリアルタイムに確認できるのが良いと考えられます。
「SAP HANA」は従来のRDBMSを単にメモリーに移しただけではなく、オンライン・トランザクション処理とオンライン分析処理の連携が出来きます。
それは、データのタイムラグが少なくDXの実現に大いに力を発揮すると期待され、「SAP HANA」へのデータベース移行が進むことが考えられています。
ERPリーダーSAPの2027年問題
世界各国で 404,000社以上の企業が利用しているとされているSAPのアプリケーションやサービス。
その中で「SAP ERP」の国内利用社数は公開されていませんが、2,000社程度はあるとされています。
そうした「SAP ERP」(SAP ERP Central Component(旧SAP R/3))は、
2015年に新たなバージョン SAP Business Suite 4 HANA(SAP S/4HANA)が発表され、
新バージョンからは、これまで利用できていた「Oracle Database」、「SQL Server」といったRDBMSではなく、
SAP社が提供している「SAP HANA」だけが利用可能となっています。
そして、これまでのバージョン「SAP ERP」は 2027年にSAP社からのサポートが終了する為、
「SAP ERP」ユーザーは現在利用しているデータベースから「SAP HANA」への移行が必要となり、
データベースの移行に係る膨大な工数について対策をする必要が出てきます。
(※) ERPとは・・・Enterprise Resources Planning(企業資源計画) の頭文字を取った略称。
本来、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し有効活用する計画(考え方)を意味していますが、
現在では、総合基幹系情報システムとも呼ばれ、人事・給与、生産、販売、営業、会計等の管理システムを一つにまとめたシステムを指す。